エンクローズ溶接施工

溶接継手の特徴

溶接継手は、接合面に熱や圧力を加えたり、溶接棒等と鉄筋端部を溶融させたりして鉄筋を接合する継手工法です。

古くから用いられている溶接継手としてはフレア溶接継手があります。フレア溶接継手は、鉄筋同士を重ね合せ、重ね部分をアーク溶接を用いて接合する方法であり、プレキャスト部材の鉄筋やせん断補強筋の継手として用いられている場合が多いと言えます。初期のプレキャスト工法は、集合住宅を中心とした壁式構造が中心であり、水平接合部にはセッテイングプレートが埋設されており、このセッテイングプレート同士を溶接するとともに、鉛直接合部では水平方向接合鉄筋をフレア溶接した後に目地部のコンクリートを打設してー体化する工法が主流でした。このため、(社)プレハブ建築協会では(社)日本溶接協会の協力のもとに「PC工法住宅溶接技術検定における試験方法および判定基準」を定めて、合格者に「PC工法溶接工」の認定を行っていました。しかしながら、フレア溶接自体には公的な基準がなく、一般的には細径鉄筋の継手に用いられています。

溶接継手の中で最も普及しているのは、突合せ溶接継手です。突合せ溶接には、パス盛り溶接とエンクローズ溶接があります。
パス盛り溶接は継手部に鋼製の裏当て金を取りつけて、溶接棒でパス盛りしながら施工する継手工法です。この継手は、最終的に継手部に鋼製の裏当て金が残るため全周目視検査が困難であり、超音波探傷検査にも制約が生じます。
エンクローズ溶接は、鉄道のレール継手として古くから用いられていた継手工法であり、1970年代の第1次鉄筋継手開発期に鉄筋継手として開発されました。エンクローズ溶接は、溶接部に銅製またはセラミック製の当金を取り付けて、連続的に開先内を溶融金属で充墳する継手工法であり、溶接完了後に裏当て材を撤去できるのが特徴です。このため、全周目視検査と超音波探傷検査が可能であり、検査が容易に行えます。溶接方法として、手動で溶接する場合と、ガスシールド機能を有するガスフードで継手開先部を覆い、ガスフード上方の溶接用開口部から溶接トーチを挿入して溶接する半自動溶接方法があり、最近では半自動溶接が多く施エされています。

突合せ溶接継手の特徴は、施工時にほとんど伸縮がなく、継手部にガス圧接継手のようなコブが生じないことです。このため、プレキャスト部材の突出鉄筋の継手にも適用が可能であり、また、先組み鉄筋工法の場合、継手部でのかぶりの問題がないため、せん断補強筋の径を変える等の配慮が不要です。
主筋の溶接継手には、他にフラッシュバット溶接継手やアモルファス溶融継手等が開発されていますが、現段階では現場での施工性に難があり、実用化にはいたっていません。簡便な装置の開発が望まれます。
せん断補強筋の溶接継手としては、アプセットバットやフラッシュバット等の突合せ抵抗溶接継手が開発されており、溶接閉鎖型せん断補強筋と呼ばれ、阪神大震災後多くの現場で採用されています。せん断補強筋としての性能が高く、寸法精度も高いため先組鉄筋の精度向上に役立っています。

(公社)日本鉄筋継手教会資料より転記